扇風機のリモコンのボタンが効きにくくなったので、分解してタクトスイッチの内部を磨いて改善しました。
基板から外さない状態で、タクトスイッチのみを分解しています。
ハンダ付けできない人でも修理できますが、ちょっと細かい作業になります。
テレビのリモコンはタクトスイッチとは違う仕組みなので、この記事は参考になりません。テレビのリモコンの方が楽です。
それ以外にも、ゲームコントローラなどの何種類かのスイッチを磨いたり、「酸洗い」してみました。
最後の組み立てだけ気を付ければ、他は簡単です。
通販などで、「接点復活剤」が市販されています。
あの手の製品は、「有機溶剤で汚れ落とし & 防錆油を塗るだけ」なので、錆(酸化被膜)には無力です。
道具
(1) カッター (「小刃」のカッターだと隙間に入り込みやすいので楽)
(2) 先の細いピンセット
(3) メラミンスポンジ、または目の細かいサンドペーパー (研磨に必要)
(4) 木工用ボンド (他の接着剤でもいいです)
(5) 爪楊枝 (木工用ボンドを塗るために必要)
(6) 虫めがね (必須ではありませんが見やすいです)
(7) 手元を照らせるスタンドライト (必須ではありませんが見やすいです)
作業前に石鹸や台所洗剤などで手(特に指先)を洗っておくこと。 タクトスイッチに手油が付くと、作業後に接触不良が起きやすいです。
作業机に湿らせたタオルを置いておき、定期的に指を拭くのも良いです。
扇風機のリモコンのタクトスイッチを研磨
3年ほど使用したリモコンのボタンの反応が悪くなっていました。
かなり強く押さないと反応しません。
赤外線を出す部分や、本体側の受信部分を拭いても改善しません。
電池ボックスの端子を磨いたり、電池を新品にしても改善しません。
スマホのカメラ越しにリモコンの赤外線を出す部分を見てみました。
ボタンを強く押さないと赤外線が出ないのが分かります。
おそらくスイッチの故障でしょう。
↓よく見かけるタイプのタクトスイッチです。
このタイプのタクトスイッチは、金属カバーと本体が4点で接着されています。
矢印の4つのツノををカッターで水平に切り落とし、金属カバーの隙間にカッターを差し込んで、テコの原理で金属カバーを外します。
カッターの刃先が欠けて目に入らないように、周りを手で覆いながら作業してください。
テコの原理で外す時は、クラフトナイフのような分厚い刃の方が安全です。
ツノが少し残っていますが、そのままにしておいてください。
最後の組み立て時に、ツノと金属カバー穴がハマるのでズレにくいです。
↓タクトスイッチ分解後(研磨前)。
矢印の4か所を研磨すると回復します。
湿らせたメラミンスポンジを小さくちぎり、先の細いピンセットで掴んで磨きます。
矢印の金属部分(接点)に手脂が付くと接触不良の原因になるので、触ってしまった場合は綺麗に拭き取っておきましょう。
タクトスイッチ内(写真左側の矢印3か所 )は狭くて磨きにくいですが、頑張ってください。
どうしても狭くて無理なら、針やゼムクリップの先を差し込んで、軽くこする方法もあります。
反転バネ(写真中央の金属の円盤)は錆がひどく、縞模様になっています。
反転バネは弾力のある金属で出来ており、強く押すとへこんだ状態を維持し、もう一度強く押すと元の形状に戻る・・という性質があります。
しかし反転バネをタクトスイッチ内に入れている時は、狭くて完全変形するほど強く押せないため、形を維持することはありません。(指で押している間だけ変形する)
押している間だけ(反転バネが変形している間だけ)写真左側の矢印3か所が繋がって電流が流れます。
反転バネを磨くときは、特に真ん中と外周の部分をしっかり磨いてください。
ここが写真左側の矢印3か所と接触します。
↓組み立ては、木工用ボンドで接着しました。
ピンセットで金属カバーを抑えながら、爪楊枝を使ってボンドを少しずつ「薄く」塗ります。
真ん中のボタンごと接着しないよう気を付けてください。
瞬間接着剤は失敗するとやり直しが大変なのでお勧めしません。
木工用ボンドは水っぽいので塗りやすいですが、固まるまで時間がかかります。
薄く広く、必要最小限に塗れば乾きやすいです。
接着剤を付け過ぎた場合は、爪楊枝などで除去してください。
または、固まった後にカッターで切り取ってください。
↓乾燥後
ちょっとボンドを付けすぎました。
木工用ボンドは意外と接着力があるので、ツノの部分まで塗る必要はありません。
研磨して明らかに反応が良くなりました。
むしろ新品より調子良いです。
磨いているのだから完璧な状態です。
例え新品のリモコンを購入しても、タクトスイッチが新品とは限りませんからね。
この手のタクトスイッチは中国の謎メーカー製で、長期在庫品の可能性があり、購入時から錆びている事があります。
新品の電化製品を購入したらスイッチが効かない・・・ということもあります。
リモコンを半年ほど使用しましたが、ボタンの効きは良好です。
劣化したタクトスイッチは「丸ごと交換するのが一般的」です。
しかし今回の方法ならハンダ付けが必要ありませんし、交換部品も必要ありません。
また、交換部品が新品とも限りません。
特殊なタクトスイッチが使用されている場合は、交換部品を探すよりも研磨した方が早いでしょう。
XBOX360コントローラ(有線)のLBボタンを研磨
新品購入時からLBボタン(コントローラの左上の手前)の反応が悪かったです。
購入してから半年後に研磨して改善しました。
タクトスイッチの研磨方法は上述の扇風機リモコンと同じです。
↓コントローラには4つのタクトスイッチがあります。
今回は左上のみを研磨しました。
プレステのコントローラと違って、組み立てが簡単でした。
背面のシールの下にある隠しネジの存在だけ知っていれば、後は簡単です。
↓反転バネがひどく錆び、表面が割れて段差が出来ています。
研磨後は平坦になり、接触面積が増えました。
左側の茶色い部分は完全に磨き切れていないように見えますが、接触は良いです。
鏡のようにピカピカにする必要はありません。
↓反転バネの裏面は最初からピカピカでした。
この面は、どこにも接触しません。
XBOX360コントローラ(有線)の左スティック(押し込み)を研磨
↓左スティックを押しこむ時の反応が悪くなったので研磨しました。
このタクトスイッチは、多軸ユニット(アナログスティック)の隣にあるため、分解が面倒でした。
破壊してしまう可能性があるので、お勧めできません。
道具は、先の細いラジオペンチ、ピンセット、ニッパー、カッターナイフ(小刃)、クラフトナイフを使用しました。
↓タクトスイッチは2本の細長い金属板で押さえつけられています。
金属板にオルファのクラフトナイフを差し込んで、テコの原理で持ち上げます。
カッターナイフだと刃が薄くて折れやすいので危険です。
また、ラジオペンチやニッパーでは分厚くて差し込めません。
クラフトナイフをお勧めします。
次に、四角い金属カバーを外すために4つのツノを切り取ります。
しかし狭い場所にあるせいで、カッターが差し込めません。
私はカッター刃(小刃)を1枚だけ折り、それをラジオペンチで掴みながらツノを切り取りました。
金属カバーを隙間から抜き取るのは無理だったので、思い切ってニッパーで金属カバーを千切りました。
次に黒いボタン(押す部分)を取り外します。
タクトスイッチの真上にある「白い出っ張り」が邪魔で取り外しにくいですが、頑張って先細りラジオペンチなどを使って外します。
そして、反転バネと、スイッチ内部の接点3か所を研磨して終了。
狭いので内部は磨きにくいです。
目視ではそれほど錆びておらず、反転バネの中心部分に傷のようなものがあるだけでしたが、研磨すると良く効くようになりました。
↓組み立て後。
金属カバーは破壊したのでありません。
2本の金属板でボタンを押さえつけているだけ。
金属カバーがなくとも作動に問題はありません。
XBOX360コントローラ(有線)のRBボタンを研磨
購入から2年後、今度はRBボタンの効きが悪くなってしまいました。
さすがに時間が経っているので仕方ないですね。
久しぶりに分解、研磨しました。
久しぶりなので上手く出来るか不安でしたが、昔取ったキネヅカ、やっぱり簡単でした。
↓LBボタンと同じように錆びています。
↓本体側。
写真では分かりづらいのですが、上の接点の突起が少しサビています。
真ん中の丸い接点も色が付いています。
↓ひび割れで段差が出来たため、接触不良になったようです。
真ん中と外周部が接触するので、しっかり磨きましょう。
XBOX360コントローラ(有線)の左スティック(押し込み)を研磨(2回目)
前回の修理から1年半ほど経ちましたが、効きが悪くなったので再び分解・研磨しました。
前回の修理時に金属カバーを破壊したので、2本の金属板を上に曲げるだけで分解できました。
磨きにくい場所なので、前回の磨き方が中途半端だったようです。
前回と同じく、小さな傷が付いているだけでサビは見られませんでしたが、研磨すると良く効くようになりました。
プレイステーションのコントローラー初代デュアルショックのボタンを研磨
数年前からボタンが効きづらかったので分解して接点を洗浄しました。
↓洗浄前
こちらはタクトスイッチではなくPCのキーボードと同じ仕組みで、黒い導電ゴムと基盤のパターン(配線)が接触するタイプです。
導電ゴムの表面が劣化しており、抵抗値が増大していました。
消毒用エタノールを綿棒に塗布して導電ゴムを擦ると、黒い汚れがたくさん出ました。(エタノールの代わりに熱湯でも良いかも)
また、導電ゴムが接触する部分(基盤のパターン)を、湿らせたメラミンスポンジで軽く研磨しました。
ついでにアナログスティックの軸ユニットも洗浄しました。
ユニット内部に無水エタノールをスプレーで噴射して綿棒で汚れをかき出し、防錆・潤滑のためユニット内部にリチウムグリススプレーを噴射して終了。
この方法では汚れは落ちているはずですが、錆は落ちません。
修理後、ボタンが良く効くようになりました。
今まで我慢して使ってたのがバカらしいです。
しかし組み立てがかなりシビアで、うまく配置しないとはめ込めません。
特にL1、L2、R1、R2ボタンのハメ込みが面倒です。
洗浄より組み立ての方が難しいです。
右往左往している間に、振動モーターのリード線を引っ張って千切ってしまい、ハンダ付けしたため作業に時間がかかりました。
2台目を分解してマイクロスコープで見たところ、ダニの死骸や卵が付いていました。きたない。
↓30倍
↓100倍
(1) コントローラ内部にダニや汚れ(エサ)が入り込む
(2) ダニがエサを求めて内部で移動しまくる
(3) ボタンや十字キーを押したときに、運悪く押しつぶされて死ぬ
(4) ボタンや十字キーの部分に死骸が集中して接触が悪くなる
コントローラは意外と隙間が多く、お菓子などが入り込みやすいです。
(キーボードやマウスと同じ)
ストップウォッチのタクトスイッチを酸洗い
ダイソーのストップウォッチが、強く押さないと反応しない状態(錆)になりました。
実験的に、タクトスイッチを酸洗いしました。
クエン酸の水溶液で錆を落とします。
他のタクトスイッチと同じ形状です。
ハンダ付けされておらず、基板と筐体の間に挟んであるだけなので取り外しが簡単でした。
この手のストップウォッチは、スイッチのハンダ付けをほとんど行わず、「ネジで締め付けてあるだけ」の部分が多く、接触不良が起きやすい構造となっています。
ガラス瓶の中に、
(1) 分解していないタクトスイッチ
(2) ダイソーのクエン酸を大さじ1杯
(3) 食器用中性洗剤を大さじ1杯
(4) 100cc/50℃くらいのお湯
を入れて、瓶を振ってかき混ぜました。
その後15分くらい放置。
抵抗値が改善し、新品同様の反応になりました。
内部にクエン酸や溶けた錆が残ると良くないので、しばらく湯に付け込んでおいて綺麗に洗い流しました。
タクトスイッチは隙間が少ないので「酸が内部に浸透しにくい」と予想していましたが、酸洗いでも改善できるようです。
でも隙間がどれくらい空いているか、どれくらい浸透するか、クエン酸が残留しないか・・・が不安定なので、お勧めできません。
やはり分解して研磨が確実です。
洗剤・・・内部への浸透力を高める
湯・・・反応を速くする、クエン酸を溶かしやすくする