2014年8月17日日曜日

スダレで植物用の日除けを製作(水不足とハダニ対策)

プランターでいくつか植物を育てていましたが、ハダニ(害虫)に悩まされていました。
スダレを屋根のように取り付けたところ、ハダニがいなくなりました。
それから5年以上スダレを使用していますが、一度もハダニの被害はありません。

↓ スダレと支柱を組み合わせただけ。
今まではハダニ被害で葉がボロボロになっていました。
スダレを付けてからは青々と茂っています。
(屋根をもう少し低めに取り付けたほうが日陰になりやすいです)


スダレの効果

(1) 害虫が激減する
湿度が上がると害虫の「天敵」が増えます。

(2) 葉焼け防止
直射日光を防ぎます。レンズ効果が起きにくいです。

(3) 泥はね防止
雨をやわらげます。

(4) 水やり回数が減る
日光を防ぎ、しかも雨を通しやすいので、乾燥しにくいです。

(5) 風通しが良いのでカビにくい。
バランスの良い湿度になります。

スダレは日光を半分くらい防ぎ、雨を通します。
「日陰」と「雨」の両方が重要です
どちらも欠かしてはいけません。
湿度を上げることによって、様々な害虫(アブラムシ、ハダニ、サビダニ、ホコリダニ、アザミウマ、コナジラミ、グンバイ)が激減します。
これらの害虫は高湿度だと元気がなくなって卵を産まなくなったり、死んだりします。
また、湿度を上げると害虫の天敵が増えるので、害虫を食べてくれるのです。

ハダニが減る理由

ハダニは湿度100%ぐらいを長期間維持すると産卵数が急激に減少し、さらに幼虫の死亡率が上がる性質があります。
溺れるわけではありません。体調を崩すといった感じです。
40%~80%ぐらいの中途半端な湿度では増殖します。

情報元: ハダニ類の個体群増殖に及ぼす湿度の影響(論文)


逆に、ハダニなどの天敵であるカブリダニ類は高湿度を好み、乾燥状況では生育できません。
例えばハダニを食べてくれる「ケナガカブリダニ」の孵化率は湿度45%未満で0となり、湿度100%で最高となります。
ハダニに対する捕食数も湿度45%を下回ると激減します。

情報元: ケナガカブリダニの発育,増殖および捕食活動に及ぼす湿度の影響(論文)


つまり、100%近い高湿度を維持するとハダニが増えなくなり、逆に天敵が増える訳です。
ネットでは、ハダニが水に弱い(溺れる)というデタラメなコピペ記事をよく見かけます。
ダニ類は少々水に漬ける程度では即死しません。
そんなに弱かったら雨や台風で全滅するはずです。
殺すには、ハダニ用の農薬「マシン油乳剤」のように、べっとりとハダニの体にまとわりつき、「長時間」酸素を遮断して窒息させる必要があります。
最近ではデンプン系の農薬もあります。やってる事は同じですけど。
ハダニが湧くたびに定期的に農薬をまかなければなりません。
時間が勿体ないですね。

ハダニを水道水に漬け込む実験をしたことがありますが、ヤツラの致死率は低く、1時間以上も生き続ける個体がいました。
特に卵は水分を通さないバリア状態なので死にません。
ダニ類は単為生殖が出来るので、メスが1匹でも生き残ればネズミ算式に増えます。
強い水圧をかけても、吹き飛ぶのは成虫だけで卵は剥がれません。
マイクロスコープで見ないと分かりませんが、葉表、葉裏、枝や茎の溝にびっしりと卵が付いており、たとえブラシで擦ってもすべて除去するのは不可能です。

↓ ハダニの付いた葉をスコープで撮影。(30倍で撮影、右下だけ100倍)
溝に大量の卵が付着しており、擦ってもほとんど取れません。
卵はこれでも少ない方です。

この卵は数日置きに孵化します。
例え全滅させても、新たなハダニが風に乗ってやってきます。
直射日光下ではすぐに乾燥するため、いくら霧吹きで加湿しても追い付きません。
まさに焼け石に水。
焼け石に水をかけるのは面倒です。
ならば石が焼けないように日陰を作れば良いのです。

直射日光はどれだけ熱いのか?

夏場の地表面の温度を、放射温度計で測定しました。
測定日・・・9月27日14時、気温30度。

直射日光が当たるプランターの土の表面・・・65~68度
直射日光が当たるプランターの土を2~3cm掘って測定・・・45度
スダレ越しで日陰になった地表面・・・35~40度

明らかな差があります。
直射日光を当てたら乾燥するのは当たり前です。
水不足で蒸散が行われなくなったら葉が焼けちゃいますね。

雨は大事

雨は場合によっては何十時間も降り続けます。
雨の日は湿度が高く曇ってるので、一度濡れると長時間、高湿度を保ちます。
つまり雨は超高性能な葉水です。
これと同じくらいの葉水を霧吹きでやるってのはバカらしいですね。

また、雨は長時間降り続けるので、土全体に浸透します。
しかしジョウロで水やりする場合、表面が濡れるばかりで土全体に浸透しにくいのです。
水は浸透する前に土のごく一部だけを通り、すぐに鉢底からこぼれるので無駄が多いです。
透明なペットボトルに土を入れて水やりして観察してみると良く分かります。
ジョウロで水やりすると土が乾燥しやすいのです。

やっぱり葉水のような「対症療法」よりも、ハダニが住みづらい環境を整えるのが先決です。
匂いは元から絶て。

スダレは「ヨシ」という植物でできています。
スダレの表面が腐ってくると、「コナダニ」という微生物が発生します。
カブリダニなどは、このコナダニを餌にしてたくさん増えます。

バケツで植物を育てる実験

実験的に、バケツに水をためて、その中でアップルミントを夏の間だけ育てました。
直射日光が当たり、常にバケツ内に水がたまっている状態(泥水)です。
しかしハダニが発生しました。
直射日光が当たっていれば、地面が常に濡れていてもハダニが発生するって事です。
ちなみにバケツ内は泥水のせいでドブのようなひどい匂いが漂い、ボウフラが湧いてしまいました。
濡れっぱなしだと大抵の植物では根腐れしてしまうのですが、アップルミントは耐えてくれました。

ハダニは中途半端な湿度ではビクともしない。

情報元: ハダニ類の個体群増殖に及ぼす湿度の影響


ハダニは気温20℃・湿度80%を維持しても勢いよく増えます。
80%ってかなり高湿度ですが平気みたいです。

しかし常に湿度98%を維持すると繁殖率が激減するようです。
ナミハダニは産卵数が少し減り、幼虫期の死亡率が上がって繁殖率が1/2に低下。
カンザワハダニは産卵数が激減し、繁殖率が1/4ほどになります。

この情報元は恒温恒湿槽(こうおん・こうしつそう)を使った密閉型の実験なので、カブリダニなど外部からやってくる天敵の影響がありません。
ハダニ単体での実験です。
実際の環境では湿度80%くらいでも天敵が増えて効果があるはずですが、この実験からは読み取れません。